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そのとき、バサバサっと大きな羽音を立て鳥たちが、飛んでいきました。
空は厚い雲が立ちこめ、森のなかは真っ暗です。
「たいへん!」
メイはサラを引っ張ります。
「雨が降ってくるわ。急いで家へ戻りましょう!」
サラはメイの後を追い掛けます。
もと来た道を帰るのですが、景色は見たことがないものばかりのようです。木の並びや岩の形も何だかどれも違って見えます。
強い風が森をなでて行きます。
「メイ、待って!」
とうとう、雨が振り始めました。
川が見えて来ました。
しかし、さっき渡った石は見えません。水かさが増して沈んでしまったのでしょう。
「メイ…どうしよう。」
「サラ。大丈夫。元気を出して。」
メイは、サラを励ましました。
「あ、リボンがないわ。」
サラもメイも夢中で走ってきたので気が付きませんでした。
「どうしよう。手品師のおじさんにせっかくもらったのに…。」
近くを見ても、やはり落ちてはいません。
川がどんどん流れていきます。ふと何か白いものが流れていくのが見えました。
「リボンだわ。」
思わず駆け寄ったサラは足を滑らせ川のなかへ落ちてしまいました。
サラはどんどん流れていきます。
「サラ!」メイも飛び込みました。
「助けて、メイー!」
サラは必死にメイを呼びました。メイはすぐにサラの傍へ辿り着きましたが、ふたりは、ずっと流されていくばかりでした。
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