濁る世界

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濁る世界

平成に生きる僕たちには、 この世界は とても孤独だ。 誰もがひとりになりたがり、 誰もが孤独を恐れる。 もし神様が人を造ったなら、 今ごろ頭を抱えているだろう。 自ら造った人間が一人歩きし、 制御できないほど傲慢になっている。 中でも一番の国が日本という国だ。 世界で有数の“治安の良い国”は、 今世界で一番“他人に興味のない国”に なっている。 自分に関係ないから死んでもいい。 キレたから殺った。 自分の欲情を満たすために他人をコロス。 親でも平気でコロス。 他人に向ける興味なんてない。 ただ自分さえいればいい。 いや… 自分さえ要らない。 三万を超える人間は、 飛び降り、 首吊り、 薬を飲む。 そんな飽和しきったこの空間で、 人は時を刻み続ける。 何も生まれないトキを刻む。
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