怒り

2/3
前へ
/35ページ
次へ
カツ カツ カツ... カツ カツ カツ... 巨大な城の中、 ヒールが床に擦れる音が鳴り響いている…。 その音は、段々と早くなり…。 キィィィィッ 部屋の扉が開かれた。 「ベルゼブおじ様っ‼」 「おぉ、エリー。どうしたんだ?そんなに急いで」 エリーと言う少女に、さして驚いた様子もなく、ベルゼブと言う男はふっと笑った。 「どうしたんだ?じゃないわッ‼クリスが人間界に行ってから、一度も帰って来ないの❗それも、1年や2年じゃない❗もう、かれこれ10年も❗」 そう言って怒り始めたエリーに、ベルゼブはまた、ふっと笑った。 「クリスを人間界に送ったのは、クリスの父親であるこの私だよ、エリー」 「…ッ‼」 そう言ったベルゼブに、エリーは驚いた様に目を見開いた。 「な、何故、そんな事を…ッ❗」 「クリスは兄弟の中でも一番若い。私達の世界の事は分かっていても、人間界の事は分からないだろう。だから、人間界に向かわせた」 そう言いながら、ベルゼブはエリーに向かってにっこりと微笑んだ。 「…ッ❗私、クリスを迎えに行って来ます❗ベルゼブおじ様に反対されても、必ず連れて帰って来ますから…ッ‼」
/35ページ

最初のコメントを投稿しよう!

87人が本棚に入れています
本棚に追加