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カツ カツ カツ...
カツ カツ カツ...
巨大な城の中、
ヒールが床に擦れる音が鳴り響いている…。
その音は、段々と早くなり…。
キィィィィッ
部屋の扉が開かれた。
「ベルゼブおじ様っ‼」
「おぉ、エリー。どうしたんだ?そんなに急いで」
エリーと言う少女に、さして驚いた様子もなく、ベルゼブと言う男はふっと笑った。
「どうしたんだ?じゃないわッ‼クリスが人間界に行ってから、一度も帰って来ないの❗それも、1年や2年じゃない❗もう、かれこれ10年も❗」
そう言って怒り始めたエリーに、ベルゼブはまた、ふっと笑った。
「クリスを人間界に送ったのは、クリスの父親であるこの私だよ、エリー」
「…ッ‼」
そう言ったベルゼブに、エリーは驚いた様に目を見開いた。
「な、何故、そんな事を…ッ❗」
「クリスは兄弟の中でも一番若い。私達の世界の事は分かっていても、人間界の事は分からないだろう。だから、人間界に向かわせた」
そう言いながら、ベルゼブはエリーに向かってにっこりと微笑んだ。
「…ッ❗私、クリスを迎えに行って来ます❗ベルゼブおじ様に反対されても、必ず連れて帰って来ますから…ッ‼」
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