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──翌日、ダルい身体を引きずりながら、透は会社へ出勤した。
しかし、思うように身体が動かないからか、仕事もなかなか進まない…。
「……。クリスの奴…」
これも全てクリスの所為だ、と透は憎々しげな目で目の前にあるPCを睨んでいた。
すると、
コンコンッ
部屋の扉をノックする音が聞こえ、透は我に返った。
「失礼します…」
そう言って入って来たのは、透の秘書だった。
「副社長。クリスさんと言う方から、お電話が入っておりますが…」
そう言った秘書に、透は苦笑した。
「分かった…」
透はため息を吐きながらそう言うと、受話器を取った。
「もしもし、クリス…?」
そう話始めた透の声を聞くと、秘書は一礼し部屋から出て行った──…。
「…。全く!どうしたんだ?クリス」
呆れながら聞く透に、電話越しの相手は、クスリ‥と笑った。
「……。お前、クリスじゃないな…?」
電話越しで笑っただけで分かったのか、透は顔を歪めた。
"良くクリスじゃないと分かったわね。やっぱり、いつも一緒にいるからかしら?"
そう言ってふふっと笑う相手に、透は不信感を露わにさせる。
「お前‥誰だ?何故、クリスの事を知ってる」
"ふふっ。クリスの事なら何でも分かるわ。だって、クリスは私と同じ種族だから…"
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