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「なぁ、俺の相手してくれよ!」
「………」
「なぁっ!仕事ばっかじゃ退屈だろ!?」
透が真剣にPCと向き合ってる中、クリスはつまらないのか、透にじゃれつき、かまってもらえる様にアピールしている…。
しかし、そんなアピールも、真剣にPCに向かっている透には無意味だった。
クリスと出会って一年が過ぎて、透は父親の言いなりになっていた性格も変わり、今では自分の意志で行動する様になった。
勿論、傍らにはクリスがいるが…。
しかし、そうなったのもクリスのおかげだと、透はクリスの好き勝手にさせていたのだが…。
好き勝手させ過ぎたのか、それとも透がクリスと遊び過ぎたのか…。
いつの間にやら、透の仕事が山積みになっていたのだ。
「なぁって!」
「クリス。後でお腹を満たせてやるから、仕事の邪魔をしないでくれ。仕事をきっちりやらないと、お見合いを破談にした意味がない」
そう言いながら、透ははぁっとため息を吐いた。
前回、───と、言っても一年前に遡るのだが、透はある大企業の一人娘とお見合いをした。
しかし、その一人娘にも想う人がおり、二人のお見合いは破談になった。
しかしそれに納得のいかなかった透の父親は、それならば仕事は成功させてもらうとばかりに、色々難しい仕事を透に押し付け、破談をなかった事にさせようと、未だに企んでいるのだ。
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