1章

2/5
前へ
/77ページ
次へ
四月十九日 蓮山小学校二年二組教室 終業のチャイムが鳴り響く。 「はい、今日の授業はここまで、日直!」 「起立!礼!」 若い先生らしき人物が授業の終わりを告げ、教室を後にする。 すると教室は急に賑やかになり、様々な話し声が飛び交う。 しかし、楽しげな雰囲気を一人の少年の声が一蹴する。 「嘘じゃない!嘘じゃ無いもん!!」 相手は如何にも憎たらしいですと言わないばかりのクラスメイト、辺りは静まり返り、その雰囲気に戸惑いながらも彼は口火を切った。 「こ、この間お前の家の爺ちゃん見たけど、全然強そうには見えなかったんだ、言ってただろ爺ちゃんはとても強い男だって。」 「そうだよ!お爺ちゃんが言っていたんだもん!」 誰が強いの強くないの、如何にも小学生らしい言い合いである。 静まり返っていた者達も、そんな事かと言わないばかりに行動を再開しまた教室は賑やかになる、話をし出す者、帰路に着く者様々である。 彼らの言い合いはまだ続いていた、何度かの言い合いの末、嘘つき呼ばわりされた少年が泣きながら教室を走り出た。
/77ページ

最初のコメントを投稿しよう!

35人が本棚に入れています
本棚に追加