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「そう言って桜の精は消えてしまったんじゃ。」
一雄は最後まで庄之助の話に夢中で聞き入っている。
「それから、桜の精とは一度も会うことは無かったんじゃ、まぁこの桜とは毎日会っとるがな。」
庄之助が桜の木を見上げる、一雄も同じく桜の木を見上げた。
「それから今まで、沢山色々な事があったが、頑張って来れたのはこの桜の木があったからじゃ、ずっと見守っていてくれていると信じとるんじゃ。」
「いつも見守っていてくれてるんだ、ここでこうやって。」
「ああ、一雄もワシのように強い男に育ってほしいと思って同じ約束をしたんじゃぞ。」
「そっか、簡単に泣いちゃいけないって。」
「ああ。」
「うん、僕頑張るよ。」
「よしよし、その意気じゃ。」
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