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小学校に通い出してから半年が過ぎた頃…
先生「ヨシ君は転校生です。皆仲良くしてあげてね。それじゃ、あそこの席に座って~」
アタシ自体あんまり人と関わりを持たないので、皆からヨシ君と呼ばれていた少年とは特に関わりもなく年月が過ぎていった。
ヨシ君はとにかく動物が大好きなのか、休み時間や放課後には必ずと言っていい位、裏の飼育小屋にいるようだったわね。
ただ『大好き』なら問題ないのだけど、友達と遊ぶくらいなら動物と、って感じだった。
そりゃ、当然友達なんて出来るはずないわよ。
アタシ自身ヒトの事言えないし、まぁアタシには関係のない話し。
今でも覚えてるわ…放課後の4年1組の教室に1人きりでいた時の事…
(…助けて)
トーヤ「だからどうやって助ければいいのよ!」
(ガラガラ…)
トーヤ「誰!?」
ヨシ「あ…」
トーヤ「ヨシ君か…。どしたの?」
ヨシ「あ、えっと…」
トーヤ「何よ?」
ヨシ「そのランドセル…。」
トーヤ「えっ?」
ボソッっと呟くとヨシ君は走り去ってしまった。
トーヤ「あの子なんだったのかしら…」
(帰り道)
トーヤ「ランドセルの事何か知ってるのかしら。…そんな訳ないっか。」
考え込んでいるとずっと前の方をヨシ君が歩いていたの。
調度良かったと思い、さっきの事を聞こうと追い掛けたの…
ヨシ君が曲がったので、アタシも追い掛けるように曲がったのだけど…
そこにヨシ君の姿はなかった。
(夜)
見間違いだったのかしら…いや、確かにいたはずよ…
そんな事ばかり考えながら机の上に置かれたランドセルを見つめていたの。
「トーヤ…」
…ん?
リエに呼ばれたので離れた所に向かって大きな声で叫んだ。
トーヤ「何~?」
リエ「え~?何、聞こえない!」
(え…!?今確かに…。)
思わずリエのもとに足を運ぶ。
トーヤ「え?今呼んだでしょ~?」
リエ「呼んでないわよ~、空耳じゃないの?…それにしてもこのテレビ面白いわよ~?」
トーヤ「気のせいか…アタシ部屋にもどるね。」
(…ガチャ)
トーヤ「…はぁ~今日も疲れたわ…」
目を閉じかける…
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