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私は、小波潤子。
今年で28歳になる。
誕生日の11月に近づくにつれて気が重たくなる。
私の職業上、
年老いては困る。
特に肢体。
身体が売り物な私。
老いては、困る。
エステからの帰り道、潤子はしとしとと降る雨に濡れないように家路を急いでいた。
「ただいまぁ」
誰も居ない家に潤子の声が響く。
「もうこんな時間…」
午後4時をさす時計を見た潤子は、ひとつため息を吐いた。
洗面所に向かうとバケツに水を溜め、雑巾を濡らして、掃除を始めた。
勿論、手が荒れないように手袋を着用する。
7時には客が来る。
今度の客は、選挙で当選した政治家。
テーブルを拭き終えた潤子はまた、ため息を吐いた。
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