六日目

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窓から差し込む月明かりに、ぼんやりと人影が写っている ベッドに横たわる潤子が、そこにいた 「なんだ…寝てたの?電気も付けないで!具合悪いの?」 はぁーと大きく息を吐き、海は潤子に歩み寄った 「……てって…」 小さな声がした 「え?」 「…出てってよ」 突然そんなことを言われ海は戸惑った 「何、言ってる…?」 「出てって」 ベッドに体を預けたまま潤子は続けた 「私…知ってる、から…全部」 「何を?」 「海のこと…家出してきたこととか…、学校のこととか、彼女のこと…とか、家族のこととか…いろいろ」 か細い潤子の声が震えていた 「全部、知ってる、から…」 「何で…」 「海…お金持ちの子だったんだね」 波の音が…消えた
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