六日目

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「変だなぁって思った。高校生のくせして、バッグいっぱいにお札持ってきて…」 海は俯いて何も言わない 「家出の原因、知ってるよ」 愚笑混じりに潤子は言う 「海の彼女に子供が出来たの」 海は、はっと顔を上げ、潤子を見た 彼女は相変わらず、寝ながら海に背を向けて 「どんな気持ち?貴方のまわりでは大変なことになってて、自分はぬくぬくとこんな所でこんなことしてて…」 「違うんだ、潤子さん!あれは‥」 弁解をしようとする海に、潤子はベッドから勢い良く起き上がり、大声で怒鳴った 「うるさい!早く出てよ!!気紛れで私と遊んでたんでしょ!?私だって、あんたみたいな子供と遊んでる暇なんて無いんだから!」 「ちょっ…」 「大体何なのよ!いきなり上がり込んできて、こんな端金で、いつまで居座るつもり!?いい加減にして!私の仕事の邪魔をしないで!!」 「少しは俺の話を聞けよ!!」 海もつい大きな声になる 「あんたの話なんて聞きたくない…!!」 今、初めて視線が合う 「……出てって……お願い」 それだけ言って潤子は崩れ落ちた その姿を見ながら、海は自分のカバンを拾い上げ、部屋を跳びだした すぐに、玄関のドアが閉まる音がした
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