二十八日目

3/5
前へ
/279ページ
次へ
「お疲れっした!」 「おっちゅ~♥つか眠ぃからぁ!」 太陽の目覚める朝八時 ある店のネオンが消えた 数分後、ずらずらと数名の女たちが出てきた 「真美たん、また夜にぇ💕」 「あっしはぁ、今日はお休みなりぃ♥美雪たん、おやしみ☆」 「ムカー!真美たんなんて死ねっ!」 美雪はドアの方を振り返り 「ねぇー、蘭しゃん?」 「あらぁ、美雪、死ねなんて言ったらダメよ?」 次にドアから出てきたのは、潤子だった 「ねぇ蘭しゃん、お茶しに行かない?」 と言いつつ美雪は潤子の腕に絡み付いた 「今日はダメ!これから部屋掃除すんのよ!」 えーっと喚く美雪に、最後に出てきた女性が諫めた 「美雪!蘭が戻ってきたからって甘えんじゃないの!まったく!」 「ママのけちっ!いーもん、じゃ、蘭しゃんとは諦める。ママと行くから」 「え、無理。私はこれから売り上げの会計あるから」 そんなやり取りを、潤子は微笑みながら見ていた 「じゃーいーわ!また夜ね!ママ、蘭しゃんお疲れっした!」 「オッス!お疲れ!寝坊すんなよ!」 ママの威勢の良い声に、はーいと答え、美雪は近くの客待ちタクシーに乗り込んだ 「はぁ…ったく、あいつはかわんないわ、ね、潤子」 疲れた表情でママは同意を求めた 「まったく…。でも、ママもかわんないわ、私を本名で呼ぶくせ」 潤子はニヤリと笑った 「ぅ…悪かったわね、蘭」 フフっと笑うと、潤子もママに挨拶をして帰ろうとした所を呼び止められた 「ああ、潤子!」 振り向く潤子 「何?」 照れながら、ママは言った 「あんたが帰ってきてくれたの、本当助かった」 潤子はまたにっこりと笑う 「あんたの店、どうすんの?」 潤子は躊躇いがちに口を開いた 「売ろうと思ってる」 「そっか、まぁ、また出すんでしょ?」 「ええ、でもこの年だし、次は経営業学び直して、料理学んで、居酒屋でもするわ」 「居酒屋!」 ママは腹を抱えて大笑いした 「まぁママ!私は本気よ?」 「知ってる知ってる」 まだひーひーと笑いがおさまらないママは手をひらひらさせながら続けた 「頑張ってな?あっしも何か応援すっからさ」 「ありがとう。じゃ、また夜にね、ママ」 「おやすみなさい、潤子」 小さく手を振って、潤子はママと別れた  
/279ページ

最初のコメントを投稿しよう!

126人が本棚に入れています
本棚に追加