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「如月、入りなさい。」
担任が言うと、返事と一緒に男子の制服を着た、中性的な顔の生徒が入ってきた。
髪は艶のある黄緑をしており、背は小柄だった。
と、その生徒を見て、慧が立ち上がって叫んだ。
「な、ななな、ナベーっ!」
そう、慧が叫んだ次の瞬間だった。
「定梶っ!」
担任が投げた白チョークが、慧の額を直撃した。
直撃したチョークは、床に落ちて二つに割れた。
その痛みに慧が額を押さえると、他の生徒達は笑いだす。
担任は呆れてため息をつくと、新しい白チョークで黒板に何かを書いた。
そして担任が横にずれると、『如月 綾徒』という文字が目に入った。
「如月、自己紹介して。」
「はい!如月 綾徒です。ちょっとした事情で、一人でこっちに引っ越して来ました。よろしくお願いします!」
綾徒と名乗った少年は、やわらかい笑顔で自己紹介をし、一礼をした。
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