背中

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暑い。 くそ暑い。 私は草むらの中にいた。端から見たら滑稽な姿だろう。でも私たちの日常はこれだ。 「あちぃ。」 私の隣の草むらから声がする。 聞き慣れた奴の声。 夜とは言えど夏。しかも草むらに入ればこもった熱と蚊の二重苦だ。 「静かにしなよ。」 「あ?山崎?」 「あんた向こうに行かなかった?」 なぜこんなとこに隠れているかと言うと、平たく言えば休憩しているのだ。自衛隊の状況中では珍しくない話。 そんな、私の顔はドウランでペイントされ頭には草が刺さってる。 私は少し移動して、同期の井村の所にいった。 「よ!」 暗いが月明かりに照らされてその馬鹿顔が見える。
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