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「私、運転しますか?」
一応、上になる自分を気遣っていったのだろう。
「いいよ、夜道苦手だったよね。」
「覚えてたんですか。」
「まぁ、ね。のりなよ。」
菅原は運転席に乗り込むとシートベルトを締めた。
エンジンを始動して、サイドを卸す。パーキングをドライブにして、乗ってきた桜庭がシートベルトを締めるのを待った。
「大変でしょ、作業。」
「ん~そうですね。でも、いつものことだから。」
発進した車は演習場を進んでいく。
「良く覚えてたね。」
「忘れられるわけないじゃないですか!」
「なんで?」
これは半分意地悪だ。
「よ、酔った勢いとは言え、あんなこと言われたら忘れられません。」
「なんか言ったっけ?」
「もう、忘れてください!」
慌てて取り繕う桜庭を見て笑う。
「冗談、忘れてないよ。」
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