逆。

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「―い、いい加減普通に喋れないの?」 男の言葉を遮るその声はついどもって、顔を剃らしてしまった。 一瞬、アイツに似ていると思ったのは朝日のせいだ。 アイツは江戸っ子喋りなんてしないし、大人な顔立ちをしていた。 よくみるとこの男はあどけない顔立ちをしている。 ……全然似ていない。 いや全く違う。 タイプが逆だ。 「失礼。“俺”はお嬢の世話係を任せられた5代目分家頭次男、杉田春日(スギタ カスガ)一応もうすぐ引き継ぎの儀で6代目になります。」 そう言い、にか。と笑う。 しかし、侠は見逃さなかった。 「――次男??」 長男はどうしたのだ……?普通縦社会の世界では長男が継ぐ。 ましてや分家なのだから。側近中の側近だ。 特に縦社会で厳しいはず。 本来お嬢である侠は知らなければならない。 しかし、内情に興味の無い侠はそういう事を避けていた。 しかし、何故か聞いてしまった。 「……」 この世界は命を落とす事なんて沢山ある。 押し黙っている春日を見て尋ねた事を後悔した
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