kiss

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暑い。 名前も知らない男の吐息がかかる。 「―――ねえ、キス……しちゃダメ?」 「ダメ。」 どんな極上の男にねだられても自分はキスをしないだろう。 だからと言って自分は決して純粋ではない。 こうして今、名前も知らない男に平気で抱かれている。 「娼婦じゃないんだから口にキス位いいじゃん」 男は口をとがらす。 (――冗談じゃないヘドがでる。) 勿論心にあるそんなストレートな断り方はしない。 「ん~~??……キスはまた今度ね」 いそいそと散らばった服を着る。 きっと今度はないだろう。 ―――花崎侠。 男の様な名前。でも女。 ワイシャツをはおり、ボタンをしめる。 何気ない動作にも美しさを感じてしまう。 ボタンをしめ終ると中に入った長い黒髪をぱさり、とワイシャツの外に出す。 一本一本が絹糸とでも言うようにさらりとしていた。 そして豊富な二つの膨らみと細くながい四肢。 まさに男の欲望を掻きたてる。 さっきまで抱いていたにも関わらず男はまた無償にこの女を抱きたくなった。
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