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2007年3月…
僕の恋愛にピリオドが付く時がやって来た。
プルルプルル、それは真夜中の静寂を切り裂くように鳴った、一本の電話から始まった。
『もしもし…よしひろ…』
《さやか》からだ、いつものような明るい声ではなかった。
『よしひろ…ごめんなさい。私好きな人ができた…わがままだって解ってる…ごめんなさい』僕は何がなんだか解らなくなっていた、今朝まで普通メールをして、次会う約束とかもしていた二人なのに、どうにか冷静を装い僕は静かに口を開いた。
『急に何を言い出すんだよ?どうしたんだ?』
冷静を装いながらも、動揺を隠しきれない自分がいた事を、今でも思い出す…
『ごめんなさい…私はよしひろを不幸にする…ごめんなさい…ごめんなさい』
何を聞いても《さやか》は謝るしかしなかった。
『意味が解らないよ…ちゃんと説明してくれなきゃ』
僕は震えた声で問いただした。『私達は付き合うまでが長かったし…付き合う前からKISSしたりしてた…だから付き合ったのに胸のトキメキも新鮮さも感じなかった…よしひろの事は好きだよ…でもそれは恋人としてじゃないの…友達として好きなんだって気付いたの…あの人と知り合ってこれが本当の恋なんだって気付いた…だからもうよしひろとは付き合えない…ごめんなさい』
さやかは淡々と胸のうちを語った。そして僕の恋愛が終わりを告げた。俺達が付き合いだしたのは約一週間前の事だった…この幸せは長く続くものだと思っていた。
僕は《さやか》に運命を感じていた。そうあの暑い夏の日に失ってしまった、本当の恋とともに…
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