第十四章 記録

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それから先の映像には秋水とデータの光景との戦闘ばかりが映し出されていた。 毎日続く光景との戦闘で秋水は日に日に痩せて行っているように見えた。 そして… 『五ヵ月目』 と題が出された…。 梓は息を飲んだ。 秋水は訓練初期に比べると異常に痩せ細っており生気が感じられなかった。 「これが…秋水なのか…?」 梓は胸が苦しくなった。 しかし秋水はそんなことを構わずに戦闘訓練を続け光景をどんどん斬り伏せて行った。 「まるでロボットじゃないか……」 梓は一瞬目を覆いたくなった。 自分の知っている元気で呑気だった秋水は映像の中では何も感じ取れなくなってしまうほどに変わっていたからだ。 …………… そして戦闘訓練が終わり秋水が部屋から出て来た。 「……よくやった秋水。 今日の戦闘結果は…目標撃破数95体だ。 成長したな…」 青葉が秋水に近付き話しかけている。 その時。 「師団長」 秋水が口を開いた。 「なんだ?」 「……お願いがあります」 秋水は青葉の顔を見上げて言った。 「俺の記憶を消してくれますか?」
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