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白い天井が見えた。体全体が痛い。目だけで左右を伺ってみる。
どうやら病院のベットの上の様だ。
ゆっくり首を傾けてみる。ギシギシと頭の中で音がする。
首の骨が悲鳴をあげているのだ。
キララは完全に目を覚ました。
病室にピンクのジャケットに、黒のミニスカートの女性が入って来た。
「目覚めたの?」
彼女はキララをはねてしまった車の持ち主だった。
名前を『花巻 乙姫(おとめ」』と言う。
新興IT産業の雄『ソフトバンド』社長の娘である。
「死んじゃったかと思った。
でもあんな雨で、暗くなかったら、絶対止まれたのよ。
痛く無い?先生は骨は折れて無いって。
それから……。」
乙姫は溢れる涙をこぼしそうになりながら、立て続けに話し始めた。
キララは痛む左手で、口に人指し指を当てた。
そして、怒れる獣の目で、彼女を見つめた。
乙姫は息を飲んで、黙ってしまった。
それはキララの動作が、乙姫の口を閉ざさせたのでは無い。
キララのあまりにも美しい端正な顔立ちと、その漆黒の瞳の中に光る、野獣の眼光に、言葉を失ってしまったのだ。
乙姫もかなりの美人の部に入る。
大学では今年1年生ながら、ミスキャンパス候補に挙げられた。
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