2006年11月21日(火曜)新月

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白い天井が見えた。体全体が痛い。目だけで左右を伺ってみる。 どうやら病院のベットの上の様だ。 ゆっくり首を傾けてみる。ギシギシと頭の中で音がする。 首の骨が悲鳴をあげているのだ。 キララは完全に目を覚ました。 病室にピンクのジャケットに、黒のミニスカートの女性が入って来た。 「目覚めたの?」 彼女はキララをはねてしまった車の持ち主だった。 名前を『花巻 乙姫(おとめ」』と言う。 新興IT産業の雄『ソフトバンド』社長の娘である。 「死んじゃったかと思った。 でもあんな雨で、暗くなかったら、絶対止まれたのよ。 痛く無い?先生は骨は折れて無いって。 それから……。」 乙姫は溢れる涙をこぼしそうになりながら、立て続けに話し始めた。 キララは痛む左手で、口に人指し指を当てた。 そして、怒れる獣の目で、彼女を見つめた。 乙姫は息を飲んで、黙ってしまった。 それはキララの動作が、乙姫の口を閉ざさせたのでは無い。 キララのあまりにも美しい端正な顔立ちと、その漆黒の瞳の中に光る、野獣の眼光に、言葉を失ってしまったのだ。 乙姫もかなりの美人の部に入る。 大学では今年1年生ながら、ミスキャンパス候補に挙げられた。
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