2人が本棚に入れています
本棚に追加
屋敷から帰り、アトリエで筆を握る。
「マリー君のことが大好きだよ。側にいてほしい。」
口から出た言葉は少し恥ずかしかったが、筆を握る手はしっかりとしていた。
「マリー君の肖像画を描くよ。」
今すぐ抱き締めたい衝動を押さえるように、筆を走らせる。
「飾りはいらない。」
筆はゆっくり美しい線を描く。
「微笑んでおくれ。」
赤い唇が微笑む。
「僕の隣でさ。」
僕の思いが、その絵に命を与えていく。
数日がすぎ、絵が完成する頃には・・・
マリーと恋人と呼び合う仲になっていた。
最初のコメントを投稿しよう!