862人が本棚に入れています
本棚に追加
僕が21才の時のお話しです。
僕は映画が好きです。でもそれは家の中で静かに一人で見るのが好きという意味。
出無精の僕はあまり外で映画を見るとかあまりしません。
ましてや彼女と映画館とかありえない種族なのです。
訳は…
彼女との大切な時間をスクリーンに取られたくないから。
簡単に言うと、
「スクリーンよりも俺をずっと見とけ!」
みたいなタイプだからです。
そうです、プチ俺様なのです。
決してプッチン俺様ではありません。
しかしそんなプッチン…いやいや、プチ俺様の僕にも当時、一筋縄ではいかない彼女がいました。
彼女の容姿は見るからにキツそう。
19才と言う若気の至りかもしれませんが髪は、鬼金髪。
例えて言うなら大食いで有名なギャルそ●をヤンキーにした感じです。
性格も完全S。
口癖は、
「男が女のタメにするのが当たり前!」
ね?一筋縄ではいかないでしょ?
ある日、そんな鬼金娘が映画を見たいと懇願してきました。
しかしプチ俺様はこれを完全却下…
したのですが、鬼金娘は更にこの完全却下を完全却下。
まぁこうなる事はだいたい予想してましたよ。えぇ…。
渋々プチ俺様は鬼金娘と言う爆弾をかかえ映画館の旅に…。
途中、山あり谷あり爆弾ありです。
やっとの旅を終え映画館に着くとその時間帯の上映は2つ。
[メイン・ブラック]
と、
[猫の恩返し]
の2択。
20前後のカップルが選ぶのは普通[メイン・ブラック]ですよね?
しかしKYな鬼金娘が選んだのは[猫の…]の方。
もう僕は何も言いませんでした。むしろ言えませんでした。
だって鬼金恐いもん。
僕たちは子供たちに混じって入場しました。保護者たちは軽く引いていました。
たくさんの夢と希望を持った子供たちの中にプッチンと鬼金が混じっていたからです。
そりゃ当たり前ですよ…。
映画はタイトルの通り、猫が少女に恩返しするという至ってシンプルな映画。しかしこのシンプルさが意外にも心に響きました。
猫ちゃん、少女。夢をありがとう!良い映画でした。
それから一時して僕はその彼女と別れました。今思えば史上最強の彼女でした。でもキツイとこばかりじゃありません。優しいとこもありました。
それ以来彼女とは会ってません。
今どこにいるのやら、何しているのやら。
ただ一つ願う事はちゃんと周りに[恩返し]してくれているのを願いつつ…。
最初のコメントを投稿しよう!