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日が暮れてきた。
昼ほどの暑さではないけれど、べっとりとした湿気が肌にまとわりつく。
僕は弥彦さんのバイトが終るまで、近くにいた黒猫と公園で遊んでいた。
弥彦さんがきた。
白いシャツに黒いジャケットを着ている。
あと、何か持ってるようだ。
「なんですかそれ?」
「んん、《道案内》用。」
コンビニの袋の中には錆びたボウルとパックのお好み焼きが入っていた。
「アンド今日の夕飯。」
「…そのお金はどこから…?」
「馬鹿にすんねい。俺だって社会人だぞ。これは俺が稼いだまっとうな金だ。パチンコで。」
「どこがまっとう!!?ホント金返してくださいよ!!」
「さぁ~て、ぼちぼち行くかぁ~。」
「ちょ…弥彦さん!弥彦さんってば!!」
もうすぐ日が沈む。
宵の時間が始まる。
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