花唄

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知らない街へ君は行く 僕の知らない遠い街 別れる前に何かしたい 花火が見たいと君は言う 嫌気がさすような人混みの中で 浴衣姿の君を見つけた 体が熱く感じてくるのは 暑さのせいか?君のせいか? かき氷なんて子供っぽい 僕が言っても君は聞かずに 『いちご2つ、おごってネ』と いちご色の舌を出す 夏空覆う 入道雲を 眺める君は 夏模様 いつもはうるさい蝉の声も 君の隣じゃ聞こえない 人混みを逃れ学校へ 夜の校舎に不法侵入 胸の鼓動が鳴りやまないのは 悪さのせいか?君のせいか? 屋上で二人腰かけて 夜空に浮かぶ花を見る 何度も何度も『綺麗ネ』と 綺麗な瞳で僕を見る 夜空に咲いた 大きな花に 魅とれる二人は 夢の中 夜空に弾ける花火の音も 君の隣じゃ聞こえない 花火はもうすぐクライマックス 徐々に近づく別れの時 この夜一の拍手が止んで 僕ら手を振り別れを告げた 何故か寂しい帰り道 振り返らないと密かに誓う 溢れる涙が止まらないのは 花火のせいか?君のせいか? 突如始まるアンコール それに応えて花火が上がり 僕は思わず振り返る 振り返らないと決めたのに この宇宙の下 小さな僕は 君だけを想う いつまでも 消えてたはずの花火の音が耳に残って離れない 大きな地球で 僕ら二人は お互いを想う 離れても    
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