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―1159年―
一人の男子がこの世に生を受けた。
その子の父の名は源義朝(よしとも)。
平治の乱で敗れ殺された源氏の頭である。
また、母の名は常盤(ときわ)。
中宮(天皇の妻)の藤原呈子(ていし)の召し使いの募集のとき、応募してきた都の美女1000人の中から選ばれた美女である。当時13歳であった。
その後、義朝に見染められ、三人の子を産む。
兄の「今若丸」、「乙若丸」、そして「牛若丸」である。
「義朝戦死。」
その知らせを聞いた当時22歳の常盤は三人の子供を連れ、平氏から逃げたのだった。
当時戦いに敗けた側は、一族は皆殺され、財産、土地なども全て奪われるのが普通だった。
常盤は愛する義朝の忘れ形見を平氏に渡さないために、必死で逃げたのである。
しかしどれだけ急いでも常盤は女性。しかも両脇に二人の子供、さらに胸には産まれたばかりの赤ん坊を抱いていては満足に歩くこともできない。
彼女が平氏に捕まるのも時間の問題であった。
そんなとき、常盤はまた別の知らせを耳にする。
「常盤の母が平氏に捕らわれた。」
常盤「私のせいで母上が……」
常盤は自らに責任を感じ、とうとう平氏に自首したのであった………。
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