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背負った8つの砲筒は火を噴いた。
「#≒@£℃∞$」
戦艦が見えたのか子タコは意気揚々と格納庫から出ていった。
「栗、戻って来い」
全夜は嫌な予感がした。提督艦は栗っこの活躍により行動不能に陥っている。
「了解で~す」
タコ戦艦を避けながら全速力では帰還した。
子タコが戦艦に戻っていくのを確認するとようやく安心できた。
しかし???
「まだ隠しているはずだ。返せといっています」
「なに? こちらにはもういない」
青筋浮かべ全夜は答えた。
タコ星人の攻撃力を侮ってはいけない。主砲は小さな惑星を瞬時に木っ端みじんにする程の威力がある。
タコ戦艦はやがて動き出した。
撃たれる!?
しかしよく見れば戦艦の砲管は提督艦に向けられている。
『まて。うつな。話せばわかる』
まこひろの抗議は聞き入れられず、一斉掃射のもと宇宙の星となった。
タコ戦艦もそれで満足したのか何事もなかったかのように姿を消した。
「………我々も帰ろう」
暫く呆然と、何もなくなった宇宙を見つめていたが、気を取り戻した全夜は言った。
「提督艦のことはどうします?」
「タコ戦艦にやられたと伝えろ。我々も応戦したが提督は我々を庇ってくれた、とも付け加えてな」
船もMSも壊れたのはタコ戦艦のせいなのだ。すべてをタコ戦艦に押し付けてしまえば、こちらが攻撃した事実も消せると考えてのことだ。
「はい」
ノアは本部へ全夜の言ったことをそのまま伝え、提督艦の捜索を依頼して通信を終えた。
硬い装甲のブリッジは避難船になっていた。
「リリスぅ~必ず帰るから待っててねぇ♪エヘ」
まこひろの叫びは虚しく宇宙に漂った。
完
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