モバッてごめんね〓宇宙編その1

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デッキから下りると先ず甘味処が目に入る。[ヲモチ]の作る和菓子は大評判。港に着く度に売切れ完売であった。クルー内でも人気は高く心のオアシスでもある。店先に[ノア]と[リューア]ができたての焼団子を食べていた。今日は新作お披露目のため皆に和菓子が振る舞われている。 その隣。食品以外の全て商品の受注販売を行う[黒目猫]の店。 今いる客は船の修繕・整備を行うTeamオヤビンの[壱伍屋]だ。 「ビニールほしいんっすけど」 「ビールですか?すみません扱ってないんですが…」 「いやビールじゃなくてビニール」 この時壱伍屋は妙に酒臭かった。 「ウコンなら扱ってますが」 と球根と腐葉土を出され出直すことにした。 「またのご利用を」 黒目猫は営業スマイルで見送った。 さらにその横には巨大ランドリーがある。[悟空]のクリーニング店はクルー全員の洗濯ものを引き受けてくれた。 その真向かいには魚釣りの天才[トウジョウ]の店。地上ならば文句なく魚屋をやっているだろうがここは宇宙である。海のない宇宙では魚は釣れない。そこで魚だけでなく食料品すべて取り扱える店にした。 その横にはバーがありマスター[ニイ]とバーテン[壱兄]。酒好きだけでなく店の雰囲気からカフェ感覚で出入りできた。実際ウマィ珈琲を入れてくれる。 その先にはアートギャラリーがある。クルーの描いたイラストやら落書きやらが展示されている。管理人を勤める[小喬]はクルーの食事も管理している。彼女がいなければクルーの健康と食生活は保たれていなかっただろう。     ブリッジ内は巨大スクリーンが数多の星を映し出していた。艦長席にいる[全夜]は新作和菓子に舌鼓を打ちつつ手元の画面で落書きしていた。 「敵艦補足!」 操作盤の前で艦長と同じく手元の画面で通販を見ていた[藤ねぇ]が突然声を上げた。 急ぎメインに映しだす。 敵艦と思われる向こうの艦はすでに攻撃体制のようだ。 「総員戦闘配備につけ」 けたたましい警報音とともに艦長の声が響く。ノアとリューアは戻ってくると操作盤の前に着く。 起きたばかりの[栗っこ]は格納庫へ急いだ。 「来ます!」 「回避!」 パネルの上を素早く指が行き交う。   ヒュッ…   回避しきれなかった1発が装甲を掠めた。 「なぁ[絵馬]チャン来てへんのやけど…」
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