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「なぁ…あれ…ウチと同じやない?」
ソード武装型MSにてミサイルを一刀両断しつつ敵艦に近づいていた栗っこは気付いた。敵艦に描かれたシンボルマークが同じであると。
「敵艦、照合してみます」
ノアは敵艦を本部との照合を開始する。
「艦長! 向こうから通信がきてます」
「…通信?……繋いでくれ」
藤ねぇは敵艦から表示されるコールサインをメインに切り替えた。
『やぁ! 任務ご苦労』
画面に映しだされた男はパンダのキグルミで子供のように満面の笑みを浮かべている。
「……………………提督!」
全夜はその人物がだれであるのか忘れていた。言葉が出たのはほんのひらめきだった。
提督と呼ばれた画面の男[まこひろ]は通常なら銀河のどこかにある軍本部の眺めのいい部屋で、空を眺め海を眺めいろいろなことを見聞きしながら詩を綴るのが日課であった。極稀に大量投薬されたタミフルの影響で異常行動にでることが黙認されている。
「提督なぜこのようなことを?」
『君たちの勇姿をみたくてねリリスと』
と手にはハンディカム。リリスとは最近熱愛交際中の彼女である。
「………提督、そのようなことのために我らに攻撃を?」
『そぅ』
まこひろは笑顔を崩さず答えた。
その答えに全夜は額に血管浮かべ静かに主砲発射のボタンを押す。リューアは主砲発射の画面を確認すると、静かに発射桿を握り照準を合わせ時を待つ。
そんなことになっているとはつゆにも思っていないまこひろは画面の向こうで「リリスぅ愛してるょ」とかなんとかほざいている。あくまでもこの行動に彼女は関与していない。まこひろの単独行動である。彼女の名誉等のためにもそれは断言しても良い。
〓主砲発射準備完了〓
のサブ表示に全夜は頷きリューアはそのトリガーを引いた。
ガドゥゥゥゥン…
一条の光りは装甲を貫き黒煙を上げた。
「艦長! 照合完了しました」
ノアはすでに穴の開いた敵艦のデータを読み上げた。
「軍所属 母艦ウィンディーネ 提督直属の船です!」
直属ということはほぼ私有といって良い。それに穴を開けたとなれば、どんな理由があろうと罷免は免れない。生涯牢獄暮らし、あるいは自由のないヘンピな星での過酷な労働生活が待っている。
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