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モニターの向こうに笑顔で通信を切る。
「絵馬、そいつは小喬さんのご子息らしい。無事に連れて戻って来い」
「……なんか……変」
絵馬から見たそれは、徐々に内側から膨れあがっているように見えた。
「艦長! 何者かがワープしてきます」
「まさか!?」
藤ねぇの画面に表示された座標は提督艦との中間であった。
現れたのは大きな赤ん坊集団。
「ベビーモスからの使者か」
奴等は宇宙に投げ出された赤ちゃんや子供達を見つけると、どこからともなく現れて連れ去ってしまう。連れ去られた子供達は2度と戻ってくることはない。
「絵馬、攻撃ぜずご子息連れて一度戻って来い」
「な…なんで……」
「巨大化しているが仮にも命に代わりない。それに奴等が現れた目的はご子息を拉致することだ。それを阻止するためにも戻って来い」
「あ。なるほど! 今戻りまーす」
絵馬はブクブク膨れゆく小喬のご子息を連れて格納庫へ戻る。
「あぁ私の赤ちゃんっ」
と模型から引っ張りだすとそこにはタコ星人。
「≠÷׉Å≒¥*#$」
「きゃああぁぁぁ…」
小喬の悲鳴とともにまだ子供と思われるタコ星人は思いきり宙を舞う。ご子息は実のところ部屋のベビーベッドで夢心地であった。
「艦長! どうやらシールドジャックがかけられていたよぅです」
ノアは船の視界をクリアに戻した。すると巨大赤ちゃんの集団は赤い色した巨大タコ戦艦であった。
「‰Å?≒≠÷$∞§℃£※〒」
「ウチの子どこ? 隠しているならあなたたちを排除する、といってきています」
ノアはタコ戦艦からの要求を訳して読んだ。
「知っていれば返す。だから撃つなと伝えろ」
「はい」
ノアは文字を打ち込むとタコ星語に訳して送った。
「絵馬、どうなっている?」
「それが……ガー…」
不自然に通信が切れた。微かに悲鳴が聞こえたような気もする。
この時格納庫は大混乱に面していた。子供といえどタコ星人の吐く墨は墨ではない。高濃度の塩酸なため、あらゆるものを溶かすことが出来た。故に格納庫内はあちらこちらの壁や床が溶けだしている。
絵馬の機体も損傷を受けていた。が全く動けないわけではない。
「みんな早く船内へ戻って!」
機体から降りずにいた絵馬は集まっていた非戦闘員の安全を優位し、皆がいなくなってからすぐにハッチを開ける。
「あれ?」
塩酸で壊れてしまったのかなかなかハッチは開かなかったがそれはそれ。壊れてしまったなら強引に開けるまで。
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