序章 滲む世界

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「薫よ……この健司様を無視すると全国百万のファンの方々が暴徒と化すぞ」 健司は朗々と言い放つが、いかんせん迫力がない。 元々迫力や気迫等とは最も遠い奴でもあるが。 「ふっ……嘘を付け。貴様のファンクラブ等はとうの昔に襲撃してやったわ!」 ノリだけは誰もが認める才能を持つ薫は、単純な程ノリにノリまくる。 「くっ貴様……よくも我が民を!」 「うん、バカな事言ってないで早く着席すればどうだい?先生方に迷惑だろう?」 「うわっ、そっちから振ってきといてノリ悪っ!しかもクールキャラ気持ち悪っ!」 朝の低体温の皆様に克を入れる、もとい怒りを買う無駄にデカい叫び声を聞きながらも、薫はクールっぽく断固無視、 「おーい、おーい、おーい!寂しくなるだろうがぁぁ!」 無視無視無視。 しまいには健司は発狂してしまい、顎の長いクラスメイトA(あご)の手により怒りの鉄拳を浴びせられているのが横目に見えたが、いつもの事だ。何も気にする事はない。
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