窓際。

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窓際ぼんやりと 流れる雲を見つめる。 静かな教室には 黒板に文字を走らせる音だけ響いているけれど 授業になんて集中出来ない。 だって、 アタシの目の前にはアタシの大好きな人が居るから 席替えの日。 アタシは一生分の運を使い果たした気がした。 窓際の1番後ろ、 特等席をゲットした上 前の席は 同じクラスになってからずっと大好きな人だった。 芹澤元(セリザワハジメ)。 一目見た時からずっと 好きだった。 一瞬で引き付けられた。 見た目もさながら、 そこに彼が居るだけで 空気が変わる。 いつも中心に居て キラキラしてて 毎日楽しそうで アタシとは大違い。 一目惚れってあるんだ。 そう知った、春。 彼に比べてアタシは地味だ。 特別浮いた存在でもなければ 目立つ存在でも無い。 今まで一度たりとも彼氏がいた事が無い事を考えれば解る様に 特別可愛い訳でも無い。 友達はそれなりにいるし 高校生活もそれなりに満喫してる。 「普通」のアタシの中に 突然彼は入り込んで来た。
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