―感情

5/7
前へ
/208ページ
次へ
「いらっしゃいませ…あ。」 入ると そこにいたのは 深雪だった。 俺に気付かない深雪は 孝太に駆け寄って笑顔を見せる。 ―何で?― 俺は唖然とした。 知り合い… いや、そんな雰囲気じゃない もっと近い… 「こいつ俺の彼女」 感づいて居たけれど 孝太の声に心臓が止まりそうになった。 「なんだ、お前彼女に会いたくてココ選んだのかよ」 雅俊がからかうのにも照れ臭そうに笑う孝太。 彼女… そして、その発言に驚いたように 嬉しそうに笑う深雪。 深雪を見た瞬間 忘れ掛けていた感情が 一気に、戻って来た。 ふと視線を写した深雪が 俺を見て目を丸くする。 「―――しょ…!」 「ハジメマシテ」 俺を 俺の名前を呼び掛けた深雪の声を遮って 挨拶をした。 「…あ、初めまして…」 一瞬口ごもったけれど 深雪はペコリと頭を下げて言った。 ――初めまして、か。 ずっと後悔してた。 君を、失った事。
/208ページ

最初のコメントを投稿しよう!

932人が本棚に入れています
本棚に追加