窓際。

4/10
932人が本棚に入れています
本棚に追加
/208ページ
ここに居て知った事 たまに掌の上でクルクルとシャープペンを回す癖がある事 眠い時に髪を弄る癖 こっそりと机の下で携帯のゲームに夢中になっている事 ぼんやりと空を眺めて目を細める事 ざわめく休み時間。 「未来、コレめっちゃイィ曲だから聞いて!」 イヤホンの片方をアタシの耳に当てて、 アタシの机に寄り掛かる元。 「あ、コレ…」 「知ってる!?良くない!?」 近い。 顔が近い。 けど、アタシは平静を保ったまま会話を続ける。 「この曲、アタシも好き」 ここにいて元の好きな物もたくさん知った。 そしてそれが示し合わせた様に アタシと同じだった事もたくさんあった。 だから、アタシがますます元を好きになるのは 当然と言えば当然だった。 時々アタシを振り返って ノートにイタズラ書きしたり 変な顔をして笑わせようとしたり キャンディをポイッと投げて来たり 毎日毎日に いつも元が居て 当たり前の様に 彼はアタシの中へ入り込んで来た。 アタシはここから、 太陽に透ける茶色い髪を この背中を 見つめるのが好きだ。
/208ページ

最初のコメントを投稿しよう!