窓際。

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「もー…悪口ばっかり…」 そんな事を言いつつも、振り返らないまま次の文字を待つ。 すぐにまた、背中にシャープペンが当たって アタシは神経をそちら側へ向けた。 スルスルと元の手が動く。 「……」 2文字の言葉。 「…わかんなかった?」 ううん、解る。 けれど、さっきまでの様に簡単に口に出来ない。 「…っ…解るけど…」 何…で? 元が今書いた言葉は 「じゃあ答えて」 今、書いた言葉は… 「…すき…」 間違いなく、『すき』と言う 2文字の言葉 アタシが言えずに今まで心の中に隠してた その言葉。 アタシの答えに満足したように元がにんまりと笑う。 「俺も」 嘘… 元が、アタシを 『すき』?? 「何、それ、ズルいっ」 一気に顔が熱くなる。 きっとアタシ、今真っ赤な顔してる。 ソレに気付かれたくなくて 言葉で出来る精一杯の抵抗をする。 「あれ、違った?」 気付いてか、気付いてないのか アタシの顔を覗き込んで笑う元。 そんな訳がない。 アタシはずっと ずっと 元ばかり見ていたんだから。
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