窓際。

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「違うく…ない」 静まり返った教室 若干のざわめきのある窓の外 柔らかい陽射し 頬を撫でる風 「よかった」 その風に元が髪を揺らして 笑う。 「あ…」 太陽に透けた髪がキラキラ光って とても、綺麗。 「好きだよ。未来」 この日からアタシは 『片思い』を止めた。 一目惚れから始まった恋が 『両思い』に変わった日。 二人で並んで歩く夕方、 沈み掛けた太陽が アタシ達を照らして 二人並んだ長い陰を アスファルトに描いた。 もう『友達同士』じゃない二人が 何だかくすぐったくて 顔を見合わせて笑った。 繋いだ手だけが 今の、アタシ達の形。 大好き、元。 アタシの心の中が、 貴方だけで いっぱいになった 幸せな、 それはとても幸せな ――夏の午後。 ―END―
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