―不安。

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「なんで、って。 お前の部屋の鍵持ってるから」 そう言って ポケットから取り出した鍵を あたしの目の前にぶらつかせる。 「そうじゃなくて…あの…あたしっ…」 会いたくて 会いたくて ずっと、ずっと 悠が大好きで 寂しくて… 不安で… 伝えたい事がたくさんあるのに、 1つも言葉が出て来ない。 「…何、泣いてんの?」 悠の手があたしの頭をポンと叩く。 一気に安堵感に包まれて 溢れるように次から次へ涙だけがこぼれ落ちる。 「…ゆうっ…… ふぇっ…寂しかっ……た…」 なだめる様に 悠の手が ゆっくりゆっくり あたしの髪を撫でる。 「お前は、何日間飲み会やってんだ?(笑)」 少し笑って、悠があたしの顔を覗き込む。 「…っ、グスッ…そんなの、行ってないもん… てゅか…嘘だもん…」 変な嘘吐いて、 すっごく後悔した事を やっと本当の事を話した。 「うん、知ってる」 「…えっ?」 「帰り…、部屋に明かり点いてたから」 「来て、くれてたの…?」 あたしが顔を上げると 悠はあたしから視線をそらして そっぽを向いた。
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