―不安。

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「悠…、赤くなってる」 そっぽを向いてるけど確かに、 悠の頬が赤くなってるのが解った。 「…っるせっ」 ギュッと悠の腕の中に引き寄せられる。 照れ隠し。 見られたく、ないんだよね? でも、 そこはあったかくて 幸せで かけがえのない、 あたしの ―居場所。 「心配、してくれたの?」  「…当たり前」 ボソッと小声で悠が一言だけ言うから、 嬉しくて 愛しくて あたしは悠の背中に腕を回して掴み付いた。 「ふふっ」 「なぁに、笑ってんだよ」 寂しさも不安も、 一気に吹き飛んで 自然に笑みが雫れる。 「悠、全然連絡くれないんだもん…」 悠の手を握ったまま 少し離れて久しぶりの悠の顔を見上げる。 「花音が出掛けるってゆーから、俺なりに気を遣ったのっ。 なのにお前、家に居るし。意味解んない嘘吐くし」 「だって、悠が…。 冷たいから…」 握った手にギュッと力が篭る。 「…すっごく、会いたかったんだよ……」 たったの3日間なのに 悠からの連絡が無い時間は長くて 思い出すとまた涙が溢れる 「…寂しかった…」
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