其ノ一 ~山彦~

4/23
前へ
/44ページ
次へ
「そうだよ。えっと…」   壱は、はるにそう返し辺りを見回す。依頼主を探しているのだ。   壱には不思議な力があり、不思議なもの達と接することや悪いもうを払う事が出来る。その力を活かし、不思議な事に関する依頼などを受け付ける萬屋(ヨロズヤ)を営んでいる。実際のところ、どんな依頼でも受け付けるような萬屋になりつつあるが…。   「あ、あれかな。」   目的の人物を見付けたらしい壱は、歩き出した。はるもその後に続く。   「こんにちは。あなたが、遠野 一(トオノ ハジメ)さんですよね?」   壱が、にこりと笑いその人に声をかける。三十代になる位の人だろうか。   「こんにちは。はい、そうです。どうも、こんな所までわざわざすみません。」   一という人物は頭を下げて言った。 彼が今回壱に依頼をした人だ     .
/44ページ

最初のコメントを投稿しよう!

34人が本棚に入れています
本棚に追加