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「ここではなんですし、どうそこちらへ。」
そういう一に案内されたのは、一の家だった。
一の家にあがると、女がお茶を出してくれた。一の妻だという。
「どうぞ。」
そう言い笑顔でお茶を出してくれたが、壱を見るその顔をには驚きの色が少し見られた。
「僕の顔に、何か?」
壱はそう聞くと、一の妻は慌てて顔を横に振った。
「いえ、ただ少し驚いてしまって。初めてお会いした方なのに、失礼かとは思いますが、もう少しご年配の方かと思っていたので…。」
申し訳なさそうに言う妻に、一は「おい。」と言った。
「そうでしたか。」
そう言い、壱は笑って見せた。笑った顔は、さらに幼く見えなくもない。
しかし、そんな顔から壱は真剣な顔へ変えた。
「それで、さっそくですが…」
壱がそう言うと、一の妻は小さく礼をして下がり、一は一つ頷くと話し始めた。
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