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「山神様は、この村に古くから言い伝えられている神の事です。
その神がいるとされる山の一部を切らなければならなくなったので、皆賛成はしていなかったのですが…。」
一が言い終わると、はるが壱の着物の袖を軽く引っ張った。
「壱…。」
呼び掛けられた壱は、はるに視線を移し頷く。
「山彦…。」
壱が呟くのを聞き、一が首を傾げた。
「やまびこって、あの山や谷で声が反響する…?」
「そう、それも山彦と言いますが、僕が言ったのは山の神とされるもののことです。
言い伝えられている中に出てきませんでしたか?山彦って言葉。」
壱に聞かれ、一は考え込む。
「そういえば…あったような…」
それを聞くと、壱は頷き立ち上がった。
「とりあえず、その山に案内してください。」
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