其ノ一 ~山彦~

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    「ここです。」   一に連れられ山の入口に来た壱とはる。 山は、まるで人を寄せ付けまいとするような空気を出している。   木々がざわめく。   「この少し奥から伐採することになっていたのですが…。 良くないことが続いたため、ここ数日は誰も足を踏み入れていません。」   そう言い、一は山の奥に続く道を見つめた。   「わかりました。遠野さんはこちらでお待ち下さい。」   一は、壱の言葉に戸惑い「しかし…」と言った。 それに対し、壱は笑顔で返す。   「大丈夫ですよ。それに何があるかわかりませんし。」   壱のこの言葉を聞き、一は壱に従うことにした。   「では、お気をつけ下さい。」   一のこの言葉に返事をし、壱とはるは山へと足を踏み入れた。
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