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やけに蒸し暑かった。喉が焼ける様な感覚に襲われ、張角は目を醒ました。
枕元の器を取り、水を汲むと、自分の顔が映し出された。頬骨は飛び出し、目は窪み、髪には白いものが多数混じっている。
心労がたたったのか、と思ったが、そんなことは自分の姿を見ずとも、等の昔に体が訴えていた。
張角は雑念を払うように、手に持った水を飲み干した。一杯だけでは渇きは癒されず、桶から水を汲みあげる。
不意に、体の内側からこみあげてくるものを感じ、張角は咳き込んだ。とっさに口を覆ったため、手と杓子には血反吐がついた。中の異音に気付き、外に待機していた従者たちが駆け寄ってくる。
「大賢良師様、大丈夫ですか!?」
従者達は張角の返事を聞くまでもなく、両側から抱きかかえ、寝台に座らせた。
張角は、鬱陶しいというような表情をし、片手をふるって外に出るように促す。
従者達は不安そうな眼差しをこちらに向けてきたが、それすらも意に介さず、寝台に横たわった。
最近では口を開くのは、ものを食べる時と、弟達からの使者に返答する時くらいのものになっていた。
食べると言っても、粥をすするくらいのものである。肉は半年近く口にしていない。最近では、それも体に触ると、粥に肉汁を混ぜたものをすすらされていた。
弟達へは、好きにしろ、という返答しかしていない。
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