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弟達は札付きの悪であった。 父を戦役でなくしていたし、貧しい家庭でもあった。そんな弟達の手本になるようにと、勉学に励んだものだったが、科挙に落ち、山に籠った。 半年ほどして、山から下りてきたら、隣家の少女が病に伏せっていた。ちょっとした疫病がはやっていて、それに感染したようであった。 そこで張角は、山籠もりの間、薬草代りに使っていた野草を煎じて飲ませた所、その少女は快癒した。 そんなことがあり、噂を聞き付けた村の人々が、自分の所にもと、張角の煎じた薬草を持って帰った所、どの家でも病が治ったのである。 どうやらその野草が、その疫病には効果を発揮するものだったらしい。 弟達はその頃、野盗まがいのことをやっていたが、彼達もまた、その噂を耳にし、張角の元へきた。 「兄上の活躍を聞き、心を入れ換えた。 この辺り一帯は、その疫病に侵されているので、各村を回り、皆を救おうではないか。」 張角は弟達の変革を知って、嬉しくなり、二つ返事で、弟達の話に乗った。 州を跨いで、そのようなことをやっていると、各地の人々が、張角のことを崇めてきた。 弟達は見合わせたように、張角に大賢良士とあだなし、全国にその名と、尾ひれの付いた噂を流布し、張角を教祖とする、太平道という宗教に昇華していったのだ。
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