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間諜いわく、彼は行商で生計を建てていた。父親は病に伏せっていたため、彼は方々探し回り、様々な薬を与えたが、効果はない。 そんな折り、張角が村に現れた。与えられた薬を飲んだが、容態は一行によくならなかった。 張角の薬草が効果を発揮するのは、当時流行っていた疫病に対してであったため、それ以外の病に効き目が薄いのは当然でもあった。 彼は、再び良薬を探すことも兼ねて、行商に出かけたという。 そして長旅から帰宅したところ、家族がいなかったため、村人に聞いてみると、夜盗と思われる十数人の集団が押し入り、女は拐い、男は殺されたという。金品の類は、隠してあったもの以外は、なくなっていた。 男は一時の間、悲しみ打ちひしがれていたというが、ある疑問にかられ、家財を投じ、それについて調べはじめた。そして、張角に辿り着いた、とのことであった。 間諜はそこで一旦、口をつぐんだ。 張角が促すと、張角の顔色を少し窺い、再び話はじめた。
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