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「おはよ~…」
「あ、慎吾おはよ。一番遅いよ」
「ん~…今日は重役出勤するから遅くていいの」
「あ…そっか」
広瀬彩野は夫の広瀬慎吾の言葉にハッとした
慎吾が近所に暮らす樫原未夢・宏樹姉弟と異次元から戻ってきて一月。自衛官だったふたりは有給を使って休んでいた。その間、慎吾はある決意を固めつつあった。
「俺、自衛隊やめて警官になろうと思うんだけど…」
そう彼が発言したのは今から一週間前、マスコミ対策に三人がかくまわれていたホテルからようやく帰宅した時だった
「兄貴、いいの?」
弟の京はそう聞いてきた。そりゃそうだろう、慎吾は戦闘機のエースパイロットだったのだから。しかし
「うん」
慎吾の決意は固かった。
「戦闘機になんか乗ってたらいつ墜とされるかわからないじゃない?その点警官になって島の駐在所にでも勤務すればまた彩野がおかしくなることないだろ?決めたんだ。もう。辞表も書いた」
「兄さん…」
上の妹で彩野の親友の里織の顔には安堵の色がでていた
「あ、でも彩野のためじゃないから」
慎吾の言葉は続いた
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