初恋 2

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「ふぅん、携帯電話か、いいなあ……」    お昼休み。  康利と購買パンをゲット。写真部の部室にて、写真部部長、松沢康利と部室を無断使用。  ようやくガクから貰った謎のプレゼントを開けた。   「俺まだPHSしか持ってないんだよね」   「うわ、登録の1番にガクが入ってる……キショー。消しちゃえ」   「消すなよ……あ、俺の番号2番に入れといてよ、ワンギリするからさ」    康利が黒いPHSをブレザーのポケットから取り出した。  あたしは、誰がやったんだか解らない……解りたくもない、これでもかっ! ってくらいデコレーションされた、ピンクの携帯電話を持ったまま途方にくれる。    「これの番号がわかんない……」    「貸してみ」    カチカチカチ、康利の指が魔法のように携帯電話のボタンを押してメニューを開く。    ピリピリピリ……。    5秒後に着信アリ。   「すごっ……説明書も見ないでなんでわかるのよ」   「こーゆーのは、説明書なんかなくてもだいたい操作出来るよーになってんの」    ふん。理系め。  ピッピッピ、と勝手に操作。   「はい、ここ押して」  ピ。    ヴヴヴヴヴ……   「2番で、俺直通ね」   「ありがと」   「どういたしました?」    くす、と蠱惑的に笑う康利。あ、キスの予感。   「……ん」   「ああそういえば」    がくっ。外されたあたしは、心の中でズッコケ。  もう、いやん。頼みますよ、コントじゃないんだからさぁ。     「新井……友達なんだけど知ってたっけ?」   「躾の行き届いた可愛いわんこ系で、爽やかスポーツマンの?」   「そうそう。なんか後で話があるとか言ってたから帰り一緒でもいい?」    もちろん。    だけどキスもちゃんとしてよね。
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