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「本当に?」
放課後のグラウンド、サッカー部のミナサンが元気に走り回ってる。
新井君に告白された次の日、あたしは今日も爽やかに汗を流してた新井君に手を振って、あなたの彼女になりたいと告げた。
「フタマタ……だけど、新井君がそれでよかったら」
「ぜんぜん!」
くしゃくしゃにして、全開の笑顔。マジでー、とサッカーボールをテンテンと鞠つきしてる。
「嘘みたいだよ。本当にいいの? うん、僕何番目でも全然いい。だってずっと君の事大好きだったんだから」
「……でね、康利には秘密にしてくれる、かな。ああ見えてすごい束縛キツイんだアイツ」
「わかった。二人だけの秘密にする。うわーどうしよう、めちゃめちゃ嬉しいんだけど、そういうの」
二人だけの秘密、だなんて。
「うん。僕さ、康利と無理に別れてなんて絶対言わないよ……だってこんな関係……」
ヴヴヴヴヴ……
バイブレーションにしてるあたしの携帯が、スクールバッグの中で振動してるけど、気づかないフリ。どうせ発信人はわかってるよ、見てるんでしょう、登録2番さん。
「一番、辛いのって形梨さんだと思うから」
「アハハ。付き合ってくれるんだったら、サン付けはイヤだなぁ」
「マナ」
一瞬、あたしの指に指を絡めて。
「マナって、呼んでもいいかな? 僕の事は、コウって呼んで欲しいな」
ぴかぴかの瞳に、あたしもつられて笑っていた。
「うん、コウ。練習頑張ってね」
新井ー、とサッカー部の先輩が呼んでいるのが聞こえてあたしは少しコウから距離をおいた。
「サンキュー! 凄い頑張れそ。あー……終わるの遅いからさ、先に帰っていいから」
「うん」
「夜電話してもいい?」
あたしは、折りたたんだメモ用紙をそっとコウに握らせた。
「ケータイ持ってるんだ。いっぱいかけてね。夜遅くても平気だから、待ってる」
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