あの日あの時あの場所で

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しばらくぼうっと見つめていると過ぎた時間を感じて、一瞬、鮮やかなピンクの花を大量に背負った桜の木がフラッシュバックした。 巡る季節を感じさせてくれた大きなこの木に、毎日を見守られて通っていたのだ。 私はスローモーションの様にひらひらと舞っていく花びらの一枚に手を伸ばした。 しかし、つかもうとした瞬間、現実に引き戻され、目の前にある虚しい光景に肩を落とし、大きな切り株に腰を下ろした。 後五分で約束の時間だ。彼はまだ来ない。 来るのだろうか。 あのくるくると面白いくらいに表情を変える、鳥の様に自由な彼は。 私はしばらく目を瞑って過ぎる時間を楽しむことにした。 学生時代のことが自然と頭に思い出される。
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