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「ちょっとそんなに笑わないでくれる。」
私は怒ったつもりなのだが、彼は何がおかしいのか、背をまるめて堪えきれずに吹き出してしまい笑い続けていた。
「ちょっと。」
「ごめん。ねぇ大丈夫?」
私が、何が?という表情をすると教団を下りて近付いて来た。
私は彼の突然の出現にも行動にもまったく付いていけず、ちっとも理解できない間に彼は私のところまでたどり着いて何を思ったのか、私の体中に付いた埃を払い始めた。
叩いたところから埃が舞って咳き込んでしまう。
「すごい埃だね。何してたの?」
彼を捜していただなんて恥ずかしくて言えるはずがなかった。
「知らない。」
私がそう言うと彼はまたくすくすと笑った。
「ちょっと…。」
「ああ、ごめ、ひっくしゅ!」
あまりに恥ずかしくて怒ろうとすると、いきなり彼がくしゃみをしたので驚いた。
「…ふふ、ごめん。」
彼が照れくさそうにそう言うのを見るとなんだかおかしくなってきて私は笑ってしまった。
彼もそれにつられて笑い出し、私たちは思いっきり笑いあった。
再開を喜んで抱き合うかわりに。
久しぶりに心が温かくなったような気がして、少し泣きたくなった。
「ところで今まで何してたの?」
「何って何が?」
久しぶりに会って何をしていたか聞いたのに、こんな間抜けな答えが返って来るなんて呆れてしまう。
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