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否が応でも考える。 失われていった命のこと。 刹那の美を含んだ儚さと、もの悲しさ。 失いかけた命のこと。 大きな恐怖と圧倒的な非力さ。 生きている。 その事実が今更になって染み込んできた。 私は…、 喜んでいるのだろうか? まだ生きていることを。 誰にも望まれず、惰性にすがって生きていくことを。 自分の胸に手を当ててみるが、先程のような暖かさは消えてしまったようで、 今はただ、鈍い痛みのようなものがあるだけだった。
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